「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」公演に対する抱負記事・書き起こし

mikittysmile2006-07-08


リボンの騎士 ザ・ミュージカル」8月1日〜27日 新宿コマ劇場

 この夏上演される「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」。モーニング娘。高橋愛さん主演のこの舞台は、宝塚歌劇団が制作に協力することでも話題になっています。監修の植田紳爾、脚本・演出の木村信司、そして王、神様の二役に扮する箙かおるに、公演に対する抱負を聞きました。

植田紳爾/監修

「手塚治先生が宝塚からイメージを膨らませてお描きになった“リボンの騎士”。宝塚とご縁が深いこの作品を、新しい日本のミュージカルとして上演したいというお話を伺い、今回の企画が始まりました。日本のミュージカル界は、海外のミュージカルを紹介する時代から、日本人が創る、日本人が演じるミュージカルを発信する段階にきています。独自のミュージカルを九十年以上作り続けている宝塚にはノウハウが沢山あり、また、大勢の人を使って大きな劇場で何かをやるということは、他ではなかなか学べません。我々が今までに培ってきたものを宝塚だけに留めるのではなく、外部にも提供して一緒に活用することで、日本のミュージカル界の更なる発展にお役に立てればと考えました。脚本・演出に推薦した木村君には、原作をうまく脚色する力があります。どんな風に作品が仕上がるか、僕自身も楽しみですね。また、主なキャストであるモーニング娘。の皆さんは、今回がミュージカル初挑戦。そんな彼女達を受け止め、助言を与える人物が必要と考え、専科から箙かおるに出演してもらいます。彼女が今まで学んできたものを若い人達に教えることも、ミュージカル界の発展に繋がるのではと思っています。日本のミュージカルが世界で活躍していく為の、大きな試金石となる今回の企画。宝塚歌劇団としても、この経験から新しい方向性が生まれるのではないでしょうか。皆様には是非ともご覧頂き、様々なご意見をお寄せ頂ければ幸いです。」

木村信司/脚本・演出

「この話を聞いて最初に思ったのは、“宝塚”そのものをやるつもりはないということでした。密かに追い求めているのは、もはや想像するしかない“戦前の宝塚”です。当時の宝塚は男性ファンが多く、好きな生徒が退団しても、彼女のファンであり続けました。最も典型的な例が、亡くなる時まで多くの人の心を捉えた越路吹雪さんでしょう。もしかすると、越路さんは宝塚が生んだアイドルですらあったかもしれません。このことを説明するため、例を挙げます。フランツ王子役の石川(梨華)くんが、声の高さを気にしていました。そこで“声はそのままで、心は王子として演じればどうか”と助言したところ、彼女の台詞は王子としての役作りに加え、彼女ならではの中世的ななまめかしさがあった。ここが演出の起点になっています。男性の心をも宝塚とはどういうものだったのか…今、それを探す旅に出ています。また、この公演には、大ミュージカル女優のマルシアさんと、宝塚から箙さんに参加して頂きました。例えば、宝塚では、下級生は上級生の背中を見て成長する。今回もそんな存在を設けたかったからです。僅かな例外を除き、生涯アイドルを続けることはできません。ハロー!プロジェクトの人達も、いつか次のキャリアを選んでいく。そこで“舞台の女優になりたい”“ミュージカル女優になりたい”と考える人が出た時、その確かな手本になる…お二人には、そんな存在になって頂ければと思います。」

箙かおる/王、神様

「外部の舞台には以前から興味があったので、今回のお話を伺った時には嬉しかったですね。私は、主役のサファイアに男と女の魂を誤って与えた天使達を、罰として下界に送る神様役と、サファイア父親の王役をさせて頂きます。今の役の演じ分けと、モーニング娘。の皆さんの中で、いかに浮かないように演じるかを考えている所ですが、外部の舞台だからということは意識せず、いつもと同じように演じているんですよ。モーニング娘。の皆さんは、普段のままの格好と声で男役を演じています。宝塚も、昔は髪を結い、普通の声で男役を演じていた時代がありましたから、男役の原点を見る思いですね。彼女達は、やはり色々なメディアに出ている分、流石に場慣れしているなと。でも、皆とても可愛らしくて…私自身、沢山の刺激を受けながら稽古しています。本当に夢々しく、何も考えずほっこりとお楽しみ頂ける、夏休みにピッタリのこの作品。モーニング娘。のファンの方だけではなく、宝塚ファンの方にも是非興味を持って頂き、劇場に足をお運び頂ければ嬉しいですね。」<<